旧三笠ホテルとは

About
建築と歴史
Architecture & History

三笠ホテルの創業者は、日本郵船や明治製菓の重役を務めた実業家山本直良です。設計者はイギリスで設計を学んだ岡田時太郎、監督は万平ホテルの初代佐藤万平、棟梁は軽井沢の建築を多く手掛けた小林代造が務めています。
全て日本人の手による木造純西洋式のホテルとして、明治37年に着工し、翌38年に竣工、明治39年5月に営業を開始しました。

軽井沢町立図書館デジタルアーカイブ
森澤勇 撮影 森沢ケン 提供

構造形式:木造、 建築面積513.62㎡、二階建て
玄関ポーチ及び屋根八角 塔屋付、スレート葺き

八角形の塔屋や軒を支える湾曲したブラケット、太縁の枠と幾何学模様のガラス窓等が外観の特徴で、内部は英国製タイルの水洗トイレやロビーのシャンデリア等、明治期における海外の優れたものや様式等を取り入れた様子が随所に伺えます。

写真提供:公益財団法人 文化財建造物保存技術協会

当初は外国人の利用者が多かったものの、次第に乃木希典、澁澤栄一、西園寺公望など日本を代表する政財界人が数多く滞在するようになっていきました。
時代の変遷とともに、さまざまな経過をたどり、昭和55年3月に軽井沢町に寄贈され、同年5月に国の重要文化財に指定されました。
その後、昭和58年4月から一般公開が行われていましたが、経年による各部の劣化や破損が顕著となってきたことから、令和2年1月から令和7年3月まで、耐震補強を含む大規模な保存修理工事を実施。2025年10月1日より施設の一般公開を再開しました。

デジタルライブラリー
Dgital Library

下の画像をクリックすると歴史解説動画(YouTube)をご覧いただけます。

企画・制作 株式会社ブランコ
映像編集・制作 有限会社TTDESIGN
沿革
History
1904(明治37)年
山本直良、三笠ホテルの建築に着工
設計:岡田時太郎/監督:佐藤万平/棟梁:小林代造
1905(明治38)年
3月 三笠ホテル上棟式
6月 京都の陶芸家 宮川香山を招いて「三笠焼」開窯
1906(明治39)年
秋 三笠ホテル落成式
5月 三笠ホテル営業開始
8月「日本館」落成
1910(明治43)年
8月 全町大洪水で被害
「日本館」山津波で倒壊・流失
1914(大正3)年
別館建設に着手、棟梁:後藤仙八・良造兄弟
春 ホテル右手の丘に全19室の別館完成
1915(大正4)年
支配人松田氏、山本直良より借り受け個人経営へ
1925(大正14)年
12月 京橋・明治屋の磯野長蔵が買い取り、
株式会社三笠ホテルに変更
1944(昭和19)年
太平洋戦争のため休業
1945(昭和20)年
3月 外務省情報部が外務省軽井沢事務所として使用
4月 大久保利隆特命全権公使が所長に着任
8月 スイス公使館ゴルジェが大久保公使と外相交渉
1946(昭和21)年
2月 米陸軍第1騎兵師団の将兵休養所として接収
1947(昭和22)年
米陸軍第8軍将校レストホテルとして使用
1951(昭和26)年
秋 米軍の失火により別館焼失
1952(昭和27)年
7月 接収解除後、山名伝兵衛が借り受け「三笠ハウス」として営業開始
1966(昭和41)年
6月 株式会社三笠ホテルから磯野不動産株式会社へ商号変更
1970(昭和45)年
10月 三笠ハウス廃業
1972(昭和47)年
2月 日本長期信用銀行が買収
1974(昭和49)年
4月 三笠ホテル曳家・補修工事を実施、現在地南より
50m移築
1980(昭和55)年
3月 日本長期信用銀行から軽井沢町に寄贈
5月31日「旧三笠ホテル」として 国の重要文化財(建造物)に指定
1983(昭和58)年
4月 ホテル内部一般公開開始
2014(平成26)年
建造物保存修理工事実施・工事完了
2020(令和2)年
令和の建造物保存修理工事に着手 長期休館
2022(令和4)年
旧三笠ホテル保存活用計画策定
2025(令和7)年
工事完了・一般公開再開
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